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●ポンプとは
液体にエネルギーを与えて、圧力を上昇させたり、液体を移送させる機械をポンプといいます。
真空ポンプなど一部気体を対象としたものも、ポンプと呼ぶこともあります。
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| 図1 動物の心臓のはたらきとポンプの作用 | |
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ポンプは動物の心臓にたとえられます。心臓は体のすみずみまで血圧によって血液を供給しています。
そのためには一定の圧力を発生させ、維持することが心臓血管系にとって大変重要です。
この調節機能がうまく働かなくなって頭に血液が行かないと、例えば寝ていて急に立ち上がったときにめまいが起こります。
常時血液が行かなくなったら、脳は損傷を受けることになります。
心臓から頭までの高さは、人間の場合約50cmで、成人の正常血圧は120〜80(mmHg水銀柱)です。
キリンの場合、この高さは約2.5mで、血圧が人間の2倍以上であり、人間より強い心臓を持っています。
首の長い恐竜は、更に高血圧の心臓を持っていたことでしょう。
高層ビルに水を供給するには、更に圧力が高くて、大流量を供給できるポンプ(心臓)が必要になります。
動物が運動すると血流が増え、これを支えるために血圧が上がります。
また、キリンが上下に首を大きく移動させた場合には、脳の血液の圧力が大きく変化するはずですが、
実際にはこれを変動させないコントロールが働いています。
プラントにおいてもコントロールが大事であり、特に温度や圧力、
あるいは流量が大きく変わるときポンプ配管系に負荷がかかる場合があるので、重要です。
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●どんなポンプがあるの?
人間生活にとって最も大切なものは、水の確保です。
人類が定住生活を始めて1万年、人口が増えるに従って大量の飲料水と灌漑用水の確保が最大の問題となり、
水道を建設し、下水道を整備し、大量の水をくみ上げる装置を考案しました。図2は紀元前
3世紀ごろアルキメデスが改良したと伝えられるアルキメデスポンプです。ほぼ同じ原理のポンプが今でも使われています。
今日の機械の原型となるような革新技術が生まれたのは、ワットが蒸気機関を発明し、大きな動力が得られるようになってからです。
ポンプには、回転する羽根車を使って、主に遠心力を利用して揚水する遠心ポンプ、
飛行機の翼と同じような多数の羽根を回転させて主に揚力を利用して液体を移送する軸流ポンプ、
そしてその中間の斜流ポンプがあります。
遠心力を利用するものは高圧を達成できますので、高圧・小流量ポンプとして用いられ、
また軸流ポンプは大量の液体を移送できますので、大流量・低揚程に用いられます。
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| 図2 アルキメデスポンプ | |
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● 最先端のポンプ
わが国の最先端技術を誇る宇宙ロケットH−Uは、液体を燃料とする液体ロケットです。
このメインエンジンLE-7の心臓に当るのが、図3に示しますような液体酸素(沸点;マイナス183℃)
および液体水素(沸点;マイナス253℃)のポンプで、遠心ポンプを用いています。液体水素ポンプの吐出圧力は約270気圧、
回転数は42000rpm(1分間に回る数)、駆動馬力は24,000馬力と巨大であり、大型タンカーを推進させる程の馬力があります。
また、液体酸素・液体水素のポンプは550℃のタービンで回され、極低温と高温が隣り合わせで、厳しい条件で運転されます。
図4は、改良型沸騰水型原子炉に内蔵されるインターナルポンプで、斜流ポンプを用いています。
原子炉の水を循環させるポンプで、出力135万kW級の原子炉では、10台取り付けられます。
一方、医学においては、人体に埋め込み弱った心臓の働きを補う日本製の補助人工心臓がEU内で臨床試験が始まっています。
このポンプは小型で、羽根車はチタン製であり、耐久性と共に耐溶血性(赤血球が破壊しない)、
耐血栓(血液が凝固しない)が要求されます。
このようにポンプは民生用から産業用、航空・宇宙用まで、大変広い分野にわたり使用されています。
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| 図3 H−Uロケットエンジン用液体酸素ポンプ | |
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| 図4 原子炉用インターナルポンプ | |
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●ポンプの特異現象
ポンプにはキャビテーションと言われる特異現象があります。これは、なべの水が沸騰する現象と同じです。
1気圧では水は100℃で沸騰しますが、圧力が下がると、常温でも沸騰現象を起こすのです。液体が流路を流れるとき、
図5に示しますように、局所的に圧力が蒸気圧より下がる場合があり、その部分で液体が気化してキャビティ(気相)ができます。
これが圧力の高い所に流れて、つぶれて消滅します。このとき高い衝撃圧力を生じ、材料を壊食します。
同時に、ポンプの性能の低下や、騒音、振動を引き起します。
また、管路系にはウォーターハンマーという別の特異現象があります。これは、図6に示しますように、
流れを急に止めたとき水圧が急に上がる現象です。ハンマーで叩いたような衝撃音が発生するため、
このような名前がついているのです。これらの特異現象は、ポンプなどを破損あるいは破壊することがありますので、
流体工学、材料工学などの力を借りてこれらの特異現象を防ぐ対策が取られています。
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| 図5 キャビテーションの発生概念図 | |
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| 図6 ウォーターハンマー発生の概念図(急閉直後) | |
| (流体の慣性と圧縮性から急激で非常に高い圧力と低い圧力を繰り返す) |
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●ポンプの用途
1. 液体の循環(原子炉の冷却、化学プラントの溶剤、冷媒など)
2. 揚水(雨水、灌漑など)
3. 圧送(水道の送水、下水の排水、石油パイプライン、液化天然ガスなど)
4. 高圧の蒸気やガスを生成するための液体圧の上昇(火力、原子力に使う蒸気タービンのボイラ給水、宇宙ロケット用推進剤など)
5. 家庭用(灯油ポンプ、バスポンプなど)
6. 回流水槽用(船舶、水泳、カヌーなどスポーツの科学的研究など)
7. ジェット(ウォータージェットによる船舶の推進、接岸、離岸のための船のスラスター、遠く、高く放水ができる消防ポンプなど)
8. 反応や装置の運転に達する圧力までの原料の昇圧(石油精製、石油化学、化学工業など)
9. 水力エネルギーの利用(揚水発電)
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