蒸気の持つ熱エネルギーから、羽根車の回転を介して動力を取り出す原動機を蒸気タービンといいます。原子力発電所や火力発電所では、蒸気をつくるために原子炉あるいはボイラを用い、蒸気タービンに発電機を連結させて、電気を作っています。
図1のように、水をやかんで沸騰させて蒸気をつくり、それを「かざぐるま」に当てた場合を考えてみましょう。かざぐるまは膨張した蒸気の力で回転を始めます。これが蒸気タービンの原理です。しかし、やかんの蒸気は大気圧よりほんのわずかに高いだけなので、回転力が弱いです。これを強力にするには、やかんの中の圧力を上げてやればよく、蒸気タービンではやかんの代わりにボイラを、そして圧力を上げるために給水ポンプを用いています。
火力発電所はLNG、石油、石炭などを燃料として蒸気タービンを使用して発電しています。図2はLNGを燃料とする火力発電所を示しています。
表1は、このようなプラントの蒸気条件を示したもので、蒸気機関車も含めて表示しています。蒸気機関車は、主にピストンとシリンダーからなる往復動蒸気機関から動力を取り出しますが、出力500W程度の蒸気タービンも持っていて、前照灯や、室内灯などに利用しています。
現在、蒸気タービンだけ使用している火力発電では、最高熱効率が43%に達し、蒸気条件は温度600℃、圧力は24.5 MPa (245気圧)です。この条件は、水の臨界点を超えて、水が沸騰せずに直接蒸気に変化する状態で、蒸気タービンは超臨界圧タービンと呼ばれます。
火力、原子力発電所では復水器をつけて蒸気を水に凝縮して、再び給水ポンプに戻す閉じたサイクルを使用しています。これによって真空0.005MPa(0.05気圧)まで膨張させて発電量を増やしています。
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